director's voice

天野琴音さん/漆芸

Q1
はるばる青森県から出展くださる天野琴音さん。(お名前がすでにすごいです・・)
「工房からの風」には、どのような出品をされますか?

A1
「漆」をもちいての制作をしています。
欅や栃などの天然木の木地に漆を塗っていること、シンプルなラインや柔らかな色彩が特徴です。
(作品を)迎え入れてくれた方の生活に入って初めて完成するような、”余白”を大切に制作しています。

さまざまな技法で制作されたカトラリーや普段使いしやすいアクセサリー、一点もののアートピースのような器を出品します。


「breeze」滑らかなラインと二色のぼかし塗りが特徴のお椀


「根来小椀」使い込まれて塗りがかすれてきた様が特徴的な小さめのお椀。小鉢としても◎


「栃の木の銘々皿」杢(もく)が美しい栃の木の銘々皿


「ティースプーン」ぬくもりあるふっくらとした塗りと、柄にあしらわれた小さな絵が可愛らしいティースプーン


「cotone./a drop」”さりげなく、軽やかに”がコンセプトのアクセサリー。
故郷青森の津軽塗や螺鈿で仕上げました。

Q2
大切にしている工藝品(古いものでも、新しいものでも結構です)をひとつ教えてください。

A2
芸術大学に合格した時に、叔父夫婦からお祝いでいただいた「裂き織り」のランチョンマット。
「芸術の分野に進むことになった姪のために…」と、選んでくれたものです。

恥ずかしながら入学当時は工芸に対する知識が乏しく、いただいた品物が裂き織りであることに気がついたのはしばらく経ってからでした。
パソコンの上に掛けたり、お茶やお菓子を収納している箱の目隠しに使っていますが、
どんなインテリアにも馴染んでくれる軽い色彩や、洗濯してもほつれてこないよう裂いた布に丁寧にこよりをかけられて織られた仕立ての良さ…。
私自身が作り手に回った今、ものを作る上で大切にしていかなくてはいけないことを教えてくれてる気がします。

もう15年以上使っていて、コーヒーをこぼしてしまい薄いシミも出来ましたし、
黄色かった経糸も褪せて白い横糸と馴染んできましたが、これからも大切に使っていきたいです。

この夏、天野琴音さんとお話しさせていただいて、制作への一途な想いに感じ入り、豊かな個性が伝わってきました。
漆の作品は馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんが、幅広い制作のなかから、
より天野さんらしさが香り立つようなものづくりに熟していっていただきたいと願わずにはいられませんでした。
お話もとても楽しくしてくださいますので、ぜひ漆のお話、お聞きになってみてください。

天野琴音さんの出展場所は、スペイン階段前、コルトン広場です。
ホームページはこちらになります。
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